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解説

IgA血管炎

  • 皮膚科医が一般診療でよく出会う、患者さんの症状・主訴をベースに、皮膚科疾患を考える上で必要な問診・理学所見・検査等を掲載しております。日々の診療の一助として是非ご活用ください。 皮膚科医が一般診療でよく出会う、患者さんの症状・主訴をベースに、皮膚科疾患を考える上で必要な問診・理学所見・検査等を掲載しております。日々の診療の一助として是非ご活用ください。
  • IgA血管炎
  • 定義・概要
    IgA免疫複合体が真皮上層の血管壁に沈着することで発症する一種のⅢ型アレルギーである。病理組織学的には、白血球破砕性血管炎であるが、その中でも血管壁へのIgA沈着を認めるものをIgA血管炎という。両側下腿を中心に点状から爪甲大までの浸潤を触れる紫斑が多発する。大腿部や下腹部にまで紫斑が及ぶ場合もある。発熱、関節痛、腹痛、腎炎などの全身症状を伴うことがある。
  • 診察時のポイント
    小児に好発であるが、成人にもみられる。頭痛、咽頭痛、感冒症状が先行するため、本症を疑ったときには、先行感染の有無を確認することが必須である。また、薬剤(ペニシリン、アスピリン)や食物(牛乳、卵)も抗原となるため、念頭に置いておきたい。
  • 診断の流れ
    確定診断は臨床像と病理組織学的診断、他疾患の除外によって総合的に行う。
    70%以上の人が初発症状として皮膚症状を訴える。軽度隆起性の浸潤触れる紫斑が特徴的であるため、両側下腿伸側に同症状を認めた場合は本症の可能性を考えて、他症状についても問診を行う。
    紫斑は硝子法で消退しないため、紅斑との鑑別は容易である。本症は上気道感染とも関連があるため、上気道感染を疑った場合は扁桃・咽頭培養を行う。血液検査では、白血球やCRP(C-reactive protein)、血沈、ASO(anti-streptolysin O antibody)、IgA値の上昇を認める場合が多いため、血液検査を行うことも必須である。組織学的診断を行うためには、皮膚生検が必須である。真皮乳頭層から網状層までの小血管に壊死性血管炎の所見を呈する。また、血管壁へのIgAの沈着を確認する必要があるため、蛍光抗体直接法を行うことも重要である。
    紫斑が下腿に限局せず、大腿部・臀部・下腹部など広範囲にわたって認められる場合は消化器症状や腎障害の合併のリスクが上昇するため、注意を要する。
  • 鑑別疾患
    【血小板減少性紫斑病】血小板減少(10万/mm3)に伴う紫斑の総称であり、打撲などによる皮下出血をきたしやすくなる。血小板が5万/mm3以下になると、自覚なく点状出血や斑状出血を生じる。紫斑は浸潤を伴わないのが特徴である。
    【結節性多発動脈炎】発熱、関節症状、腎機能障害、末梢神経障害などを生じる全身性血管炎である。病理組織学的には小〜中動脈の白血球破砕性血管炎を呈する。表在性動脈走行に一致して、直径1~2cm大の皮下結節や紫斑、潰瘍を生じるのが特徴である。
    【ウイルス感染症】ウイルス感染によるアレルギー反応により麻疹や風疹などのような全身性皮疹を来すものがある。
    【顕微鏡的多発血管炎】細動静脈〜小動脈を侵す全身性血管炎であり、MPO -ANCA*1(P*2 -ANCA)陽性のANCA関連血管炎である。糸球体腎炎や間質性肺炎が急激に進行し、予後不良である。皮膚症状としては、細動静脈の血管炎を反映して、浸潤を触れる紫斑を下肢中心に生じる。
    *1 MPO-ANCA:myeloperoxidase-anti-neutrophil cytoplasmic antibody(抗好中球細胞質抗体)
    *2 P:perinuclear
    【全身性エリテマトーデス(SLE*3)】腎臓、心臓、関節、中枢神経など他臓器障害をきたし、若年女性に好発する原因不明の自己免疫疾患。皮膚症状としては最も特徴的な、頬部に生じる蝶形紅斑以外に、リベド、浸潤性紫斑、四肢潰瘍(血管炎)、点状出血(血小板減少)がみられる。
    *3 systemic lupus erythematosus
    【クリオグロブリン血症】種々の原因によりクリオグロブリンが出現し、血管炎症状を呈するものである。I型からⅢ型まで分類される。一般的にI型は軽症例が多いが、II型やⅢ型では血管炎を反映して、浸潤を触れる紫斑や皮下結節、潰瘍を形成する。
    【抗リン脂質抗体症候群】リン脂質と血漿蛋白の複合体に対する自己抗体が生じることにより、全身の動静脈に血栓塞栓症を生じる疾患である。静脈の変化によりリベドや血栓性静脈炎、下腿潰瘍を、動脈の障害により皮下結節や指尖潰瘍、壊疽などが見られる。SLEに合併しやすく、習慣流産、虚血性心疾患、チアノーゼ、下腿潰瘍、リベドを特徴とする。
    【慢性色素性紫斑】中年の下肢に好発する原因不明の紫斑で、点状出血や毛細血管拡張を伴い色素沈着が残るものをいう。全身症状を伴うことはなく、慢性的に増悪と軽快を繰り返す。本疾患の多くはSchamberg病であり、時に下肢静脈瘤を伴う。
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